天然酵母とイーストってどう違うの?
今やいろんなパン屋さんやスーパーなどで「天然酵母使用」と表記されているパンが増えてきています。
そして、天然酵母は安心で健康。その反面イーストは体に良くないという印象が強くなってきているように感じます。
では、天然酵母とイーストの違いってご存知ですか?
お店でも天然酵母使っていますか?と聞かれることもあります。安心なもの健康なものと食にこだわっている方は天然酵母のパンを選びたいと思うのだと思います。
でも天然酵母とは?イーストとは?とちゃんと認識している人は少ないのではないかと感じます。世間の印象だけではなく、天然酵母とイーストことをここで明確にしておきたいと思います。
天然酵母とイーストは同じです
イーストとは、英語表記で日本語で言うと「酵母」です。そして、酵母(イースト)は自然界に存在する天然のもので人工的に作られたものは存在しません。
そのため、天然酵母もイーストも両方とも人間が作り出したものではない天然のもの=同じ!ということです。
天然酵母もイーストも同じ酵母。しかし、以下の表記であなたはどう感じますか?
①原材料:小麦粉、バター、砂糖、イースト、塩
②原材料:小麦粉、バター、砂糖、パン酵母、塩
イメージ的に①よりも②の方が安全なイメージを持ちませんか?
実際にイーストという表記をしているパンの満足度は下がることがあるそうです。
同じイースト=パン酵母を使っているのにもかかわらず満足度が下がるのはパン屋さんとしてはとても残念なことです。
しかし、天然酵母という言葉が行き交うようになってしまっているので、そもそもの知識を知る必要があると感じています。
天然酵母とイーストのパン作りで違う点
イーストは全て天然であることは、認識していただいたと思います。
では、そこから深堀りをして天然酵母とイーストとでは、パン作りの工程で違う点についてご紹介します。
天然酵母は果物などから培養したもの
天然酵母は、ぶどうやりんごなどを水につけ時間をかけて酵母を培養するものと市販されいる有機穀物から作ったドライイーストタイプものがあります。
自家培養する酵母は、パン作りを始める前に酵母作りからのためかなりの時間がかかります。培養自体に最低でも1週間ほどかかります。
市販されている有機穀物から作られたドライイーストのもの、有名なものだと白神こだま酵母などがあります。
イーストはパンに適した酵母菌を集めて培養したもの
イーストは、生イーストやインスタントドライイーストなど種類があり、パンに適した酵母菌を培養したものです。
予備発酵なしでパン作りを手軽に出来る酵母です。上記の天然酵母と違い培養などの手間もなく扱いも簡単、発酵力も安定しているので初心者にもおすすめです。
イーストが体に悪いと言われる理由
イースト、天然酵母と言われるパン酵母がどちらも安全であることは認識してもらえたと思います。
では、なぜイーストが体に悪いと言われることがあるのでしょう。その理由に「イーストフード」と聞いたことがあるでしょうか。
イーストとついているのだから、パン酵母の仲間かなと思いますよね。でも、イーストフードは別物なのです。
イーストフードは、食品添加物。数種類ある合成添加物を総称としてイーストフードと表示されています。
イーストフードと呼ばれる食品添加物の一覧はこちら
- 塩化アンモニウム
- グルコン酸カリウム
- 酸化カルシウム
- 炭酸アンモニウム
- 炭酸カルシウム
- 硫酸カルシウム
- リン酸三カルシウム
- リン酸二水素アンモニウム
- リン酸一水素マグネシウム
- 塩化マグネシウム
- グルコン酸ナトリウム
- 焼成カルシウム
- 炭酸カリウム
- 硫酸アンモニウム
- 硫酸マグネシウム
- リン酸水素二アンモニウム
- リン酸一水素カルシウム
- リン酸二水素カルシウム
- 臭素酸カリウム
このように上記の添加物を2種類以上使用しているものは総称して「イーストフード」のみ表示する義務があります。
イーストフードを使用する目的は、パンを大量生産する際に必要でコンビニやスーパーなどに並ぶパッケージされたパンなどに含まれているようです。
パンだけではなく、食品添加物に対しての考え方は人それぞれです。それでも、出来るだけ食品添加物は避けれるものなら避けたいと考えます。
安定した品質を保つために食品添加物が使用される。品質とは、安全とは…。
イーストフードを食品添加物という認識から、体に悪い。そして、イーストフードとイーストは名前が似ているからイーストは体に悪いということになったと考えます。
まとめ
- 天然酵母とイーストは同じパン酵母
- イーストとイーストフードは別物
- イーストフードは食品添加物
- 天然酵母は自家培養酵母や穀物インスタント天然酵母がある
- イーストはパンに適した酵母菌を培養したもの
このように天然酵母とイーストの安全性は分かっていただけたでしょうか。同じパン酵母であることを認識した上で、パン作りの際に自分に適したものを選ぶことをおすすめします。
初心者の方はまずはドライイーストからパンの風味などむかしながらの製法を試したいかたは自家培養酵母にも挑戦すると良いですね。
そして、ご理解いただきたいのは天然酵母が良いものでイーストのパンはそではないというのは違うということです。
ドライイーストを使用するパン屋さんでもパンに対して情熱を持ち作りお客様に届けています。天然酵母のお店も同様です。
原材料だけで判断するのではなく、パンに対する想いや商品の味を確かめてお客様自身の好みに合うパンと出会って欲しいと思います。