てんさい糖のやさしい甘み。体を想うパンづくり

パンの甘みには、いろいろな種類があります。上白糖、グラニュー糖、きび糖、黒糖、そして、てんさい糖。その中でも、パネッテリアラテでは”てんさい糖”を選んでいます。
てんさい糖は、北海道で育てられる「てん菜(ビート)」という根菜から作られたお砂糖。寒冷地で育つこの植物は、見た目は大根のような形をしていて、実は自然な甘みとともに、ミネラルやオリゴ糖も豊富に含んでいます。
やさしい甘さは、体にもうれしい

てんさい糖は、他のお砂糖と比べて血糖値の上昇が緩やかで、からだにやさしいといわれています。また、ビフィズス菌を増やすとされる「オリゴ糖」も含まれていて、腸内環境を整える効果も期待できます。
当店のパンに含まれる甘みは、てんさい糖ならではの、ほんのりとやさしい甘さ。素材本来の味を引き立てる、控えめで素朴な味わいが特徴です。
やさしい甘味で、食べるとふと気持ちが和らぐような、そんな風味を目指しています。
パンは「毎日食べるもの」だから

パンは「毎日食べるもの」として考えています。だからこそ、素材には妥協したくありません。
毎日食べても負担にならず、家族にも安心して食べてもらえる。そんなパンでありたいと思っています。
食ぱんなど定番パンはもちろん、あんこやチョコチップを使ったキューブパンにも、てんさい糖を使用しています。
甘さ控えめ=味気ない?

「甘さ控えめ」と聞くと、物足りなさを想像される方もいらっしゃるかもしれません。
でも、てんさい糖の甘さは、“奥行き”のあるやさしさです。口に入れた瞬間に甘さがドンとくるわけではなく、噛みしめるごとにじわっと広がる、そんな甘み。
砂糖そのものの主張が強すぎない分、小麦の風味や発酵の香りも生きてきます。
特にホシノ天然酵母との相性がよく、時間をかけて発酵させた生地の奥深さを、そっと支えてくれるような存在です。
素材を選ぶことは、未来を選ぶこと

パン作りは、シンプルな工程の中に、たくさんの“選択”があります。どんな粉を使うか、どんな酵母を使うか、どんな砂糖を使うか。そのひとつひとつが、味だけでなく、体へのやさしさへの配慮にもつながっていきます。
てんさい糖を使うということは、北海道の農業を応援することでもあります。日本の気候で育つ作物を選ぶことは、食の自立や地域とのつながりにも貢献する選択。そんな小さな“選び”を積み重ねることで、作る人も食べる人も、そしてその先の子どもたちの世代も、少しずつやさしい方向へ進めたら…という願いを込めています。
パンづくりに込めた思い

私自身、子どもを育てながら「安心して食べられるものを選びたい」という想いを強く持つようになりました。だからこそ、パンを作るときにも、食べる人の体と心を考えています。
てんさい糖は、その想いを形にできる素材のひとつ。やさしい甘みが、誰かの朝をそっと応援したり、おやつの時間に笑顔を増やしたり。そんな小さな幸せが、毎日の中に広がっていくことを願って、今日もパンを焼いています。